「ダウの犬」投資戦略−誰でも簡単に「高い利回り」を生み出す方法−

「ダウの犬」投資戦略−誰でも簡単に「高い利回り」を生み出す方法−
目次

「ダウの犬」という洗練された投資戦略

ヒイラギ

今日は「ダウの犬」という投資戦略を紹介するよ

助手のひつじくん

何それ?
初めて聞いた

ダウ平均は米株式市場を代表する主要指標の一つであり、主要な30社の株価で構成されています。

この30社のうち、各年の12月31日(年末)時点で配当利回りが高い企業のうち、上位10社の株に「均等に」投資をしてその翌年1年間保有し続け、配当金も再投資に充てる方法を米国では「ダウの犬」と呼んでいます。

ヒイラギ

「配当金で暮らしていきたい!」と願う多くのFIRE投資家にとっては人気のある投資スタイルなんだよね

助手のひつじくん

へえ〜
でも、高配当株って、投資パフォーマンスがあんまり良くないイメージあるけどね〜

ヒイラギ

いや、実はそうでもなくて、極めてシンプルな投資戦略なんだけど、過去20年間の投資収益パフォーマンスを算定すると、年率にして9%、勝率は75%以上を誇るんだよ

助手のひつじくん

え!?
すごくない!?

ヒイラギ

しかも、銘柄の入れ替えタイミングは年に1回だけなので、売買手数料も必要最低限で済み、経済的にも心理的にもコストパフォーマンスは抜群なんだよね

助手のひつじくん

年に1回で良いの?シンプルだね。
ちなみに、なんで「犬」なの?

ヒイラギ

実は良い意味としては使われていなくて、「負け犬」を意味する「犬」から取られているんだよ。英語では「Dogs of the Dow」と書くんだ

助手のひつじくん

え?「負け犬」なの?
勝ってるのに?

ヒイラギ

高配当株になるということはそれだけ高い配当金を出さないと投資家が株を買ってくれないということだからね。つまり、不人気株になっている=負け犬、という理屈なんだよ

助手のひつじくん

な、なるほど

ヒイラギ

配当金って、一回引き上げるとなかなか減配しづらくなるでしょ?となると、配当利回りの変動は株価の上下によって決まることになるよね。で、配当金が一定であれば、株価が下がった時に高利回りになる、ということなので、「負け犬」ということになるんだ

成長銘柄が高配当株にならない理由

1つの事例として、例えば、アップルもティム・クックが株主還元として配当金を支払いを2012年から開始し、徐々に1株当たりの配当金を引き上げています。

ただ、その配当金の伸びを大きく上回る形で株価がぐんぐん伸びていったので、高利回り銘柄にはなり得なかった、ということになります。

ダウの犬投資法は、1991年に発表された米国のファンドマネジャー、マイケル・オヒギンズ氏の著書『ビーティング・ザ・ダウ(原題)』で有名になりました。

「ダウの犬」投資戦略は、極めてシンプルかつ手間のかからない投資戦略です。

世界株式を見渡すと、「配当利回りが高い」という理由だけで銘柄を選んでしまうと、それはつまり投資家に人気の無い銘柄ということもあって、株価はずるずる下がってしまう可能性があります。また、業績の悪化によって、減配や、配当がなくなってしまうというケースもあり得ます。

助手のひつじくん

高配当=不人気株なんだから、株価がずるずると下がってしまって、どうしようもなくなるんじゃないの?

ヒイラギ

普通はそうだよね。ただ、ダウに採用される企業って、超優良企業ばかりだよね。だから、倒産リスクは極めて低く、株価の復調も期待できる、ということなんだよ

NYダウを構成する30銘柄はそのいずれも米国を代表する超優良企業です。

ダウの犬投資法は、超優良企業30銘柄の中から選んでいくことになるため、倒産リスクが極めて低いという点がメリットとして挙げられます。

見方を変えると「ダウの犬」という投資戦略は「ピカピカのビジネスを行っている会社を安く買う」という発想ですね。

ダウの子犬戦略

また、10銘柄の中で特に株価が低い5銘柄に投資することを「ダウの子犬戦略(Small Dogs of the Dow)」と呼んでいます。

ヒイラギ

まだ投資に回せるお金があんまり無い時は、5銘柄から始める、ということだね

ダウの犬もダウの子犬も10年スパンの投資で考えるならば、パフォーマンスに大きな差異が無いことが確認されています。

「ダウの犬」投資戦略の始め方

STEP
候補銘柄の選定

前年の年末に、NYダウを構成する30銘柄のうち、配当利回りが高い方から順番に10銘柄を選定します。

STEP
年初に選定銘柄を購入

年が明けたら、選定していた10銘柄に資金を「均等」になるように投じます

ヒイラギ

ここでのポイントは「均等」に購入することです!


銘柄によって、株価の高い・安いはありますが、株式数で調整して、「均等」購入をします。

STEP
1年間保有する

1年間保有するだけですが、高配当銘柄なので、4半期ごとに配当金が振り込まれます。
その年の途中で得た配当金は「配当を出した銘柄」に再投資します。

STEP
1に戻って、繰り返し

1年間保有を継続したら、年末に手順1に戻って、その時点での高配当10銘柄を選定し、翌年の年初に入れ替えを行います。

助手のひつじくん

これ、ホントにすごいシンプルだね・・・

2022年度版 ダウの犬構成銘柄について

ヒイラギ

さて、じゃあ、2022年度版で見ていこう

2022年の年初の利回りから算出した「ダウの犬」構成銘柄については下記の通りとなります。

21年との違いは、シスコ・システムズが大きく株価を伸ばしたことにより、配当利回りが低下し、構成銘柄から抜けたこと、代わりにインテルが入ってきたことが挙げられます。

スクロールできます
銘柄ティッカー利回り
ダウDOW4.94%
ベライゾンVZ4.93%
IBMIBM4.91%
シェブロンCVX4.57%
ウォルグリーンWBA3.66%
メルクMRK3.60%
アムジェンAMG3.45%
スリーエムMMM3.33%
コカ・コーラKO2.84%
インテルINTC2.70%
2022年度版 ダウの犬構成銘柄について

「ダウの犬」投資戦略:直近2年間のパフォーマンスについて

助手のひつじくん

これ、結果はどうだったの?

ヒイラギ

結論から言うと、2020年も2021年もNYダウ平均と比較すると、負けちゃってるんだ

2020年と2021年の結果を下記に掲載します。

スクロールできます
銘柄2020年リターン2021年リターン
ダウ+8.0%+1.6%
エクソンモービル▲36.2%
IBM▲1.2%+7.1%
ベライゾン▲0.1%▲11.0%
シェブロン▲26.0%+37.4%
ファイザー+3.2%
スリーエム+2.8%+1.5%
ウォルグリーン▲29.3%+32.0%
シスコ・システムズ▲3.5%+42.1%
コカ・コーラ+2.4%+8.1%
メルク▲5.4%
アムジェン▲1.5%
ダウの犬平均リターン▲8.0%+11.3%
NYダウ+9.7%+19.0%
ダウの犬個別銘柄およびトータルリターンの結果とNYダウとの比較

2020年ですが、「ダウの犬」による投資収益は▲8.0%となり、NYダウ平均の+9.7%を大きく下回りま した。
この年は、シェブロンやウォルグリーンなどが大きく下落しました。
また、トピックス的なものとして、それまで「ダウ」構成銘柄であった、エクソンモービルとファイザーが20年8月にNYダウから除外されるということも起きました。

2021年は全体的に引き続き米国株が堅調な年になりました。NYダウは19%の大幅な伸びを記録しました。一方で、ダウの犬はそこまでは大きく伸びず、年率で11%という成績でした。

ヒイラギ

20〜21年のようなグロース株優位の局面では、「ダウの犬」を構成する主軸となるバリュー株はダウ平均に勝てない、ということだね

ダウの犬戦略は、株式市場でバリュー株が好調の時に最も良い収益を得られるということになります。

「ダウの犬」戦略のメリット

それでは、ここから、「ダウの犬」投資戦略のメリット・デメリットをまとめていきます。

メリット① 安全性・安全性が高いため、リスクがミニマム

先にも書きましたが、ダウの犬銘柄に選定されるのは、米国のトップ30と言える超優良銘柄です。新興市場や新興国の高い利回り企業とは訳が違うので、抜群の安心感、安定性があります。

業績、財務状況と言った健全性は文句なしなので、倒産して株が紙屑になるようなリスクが極めて低いと言えます。

助手のひつじくん

確かに、ダウ銘柄が倒産するようなことがあったら、大不況・恐慌レベルだよね・・・

ヒイラギ

この辺の企業が倒産しているような事態に陥るとなると、世界経済大混乱期なので、どの銘柄に投資していても酷い目に遭うよね・・・

メリット② 株式や金融の高度な専門知識が不要

投資方法が極めてシンプルということも魅力的なメリットです。
年末に銘柄を買って、年が明けたら買うだけ、というやり方なので、高度な金融の専門知識を持っていなくても片手間でトライできます。 

助手のひつじくん

シンプル過ぎてやることがほとんど無いから、暇かもね

メリット③ 手間がほとんどかからない

年末に構成銘柄を10銘柄選定し、年初にポートフォリオを組み上げたら、あとはほったらかしです。

ヒイラギ

1年に1回、リバランスが発生するだけなので、サラリーマンの本業が忙しくても気軽に投資できるのは大きなメリットだね

メリット④ 手数料負担が少ない

年に1回買いに行くだけなので、手数料も抑えられる点もメリットです。
唯一、配当金受領時の再投資については、金額が少額なのに、回数が多いことから手数料が嵩んでくる可能性があります。

助手のひつじくん

その場合は割り切って、年初の購入時に配当金分もまとめて投資してしまう、というルールでも良いかもね

「ダウの犬」戦略のデメリット

それでは、次にデメリットを見ていきましょう。

デメリット① 無配の成長株の株価上昇をとりこぼす

本稿執筆時点では、NYダウ30銘柄に無配銘柄はありませんが、IT企業を中心とした成長銘柄の多くは、配当に回すくらいなら、設備開発投資や次の事業への資金として振り分ける傾向が強いです。

ヒイラギ

アップルもスティーブ・ジョブズの時代はそういったポリシーだったし、アマゾンやアルファベットもいまだに配当を出していないからね

ただ、株式市場が証明しているように、こういった考えを持つ企業の方がのちのち得られるキャピタルゲインは極めて大きなものになりますので、ダウの犬だけに全力集中していると、新しい産業の成長の恩恵にあやかれない、ということが考えられます。

デメリット② 安定企業とはいえ、深刻な業績悪化が発生する可能性もある

ダウ構成銘柄ではあっても、その事業環境によっては業績悪化に見舞われるケースがあります。

その1社の個別銘柄の深刻な財政悪化により、株価が大きくアンダーパフォームする場合、10分の1を構成しているダウの犬銘柄全体に響いてしまい、パフォーマンスが低迷することがあり得ます。 

助手のひつじくん

まあ、10銘柄しか無いから、比率的には痛いよね

デメリット③ NYダウのパフォーマンスの方が良い時もある

これはまさに先に述べた2020年、2021年の市場環境の通りですが、NYダウに「ダウの犬」が劣後するタイミングがあります。

10年以上の長期的にみれば、NYダウよりパフォーマンスが良いですが、必ず毎年勝てるわけでは無いことは知っておくべきです。

過去20年間(2001-2020)を検証した結果、「ダウの犬」の方が高いパフォーマンスとなったのは12回

デメリット④ それなりの投資資金が必要

その年度の株価水準によりますが、ダウの犬の銘柄は大型優良株なので株価が高いものが多く、投資資金もそれなりに膨らみます。

ヒイラギ

ただ、アメリカ株式は1株単位で買えますし、最近では金額単位で購入できる証券会社も出てきたので、これはさほどの問題ではないかな

助手のひつじくん

本当に資金が少ないということであれば、10銘柄ではなく、5銘柄選定の「ダウの子犬」戦略の方でチャレンジしてみるのも手だね

デメリット⑤ 配当金にかかる税金が無駄になる

配当金にかかる税金が差し引かれた上での再投資となるため、内部留保してもらった方が最終的なパフォーマンスは高くなると言えます。

※米国での税金10%を差し引かれたのち、日本での税金として20.315%がかかるため、結果として、源泉徴収として28.3%差し引かれた状態からのスタートとなる

ヒイラギ

ただ、このことを深く考え出すと、そもそも「ダウの犬」という投資戦略そのものを否定してしまうことになっちゃうんだよね

助手のひつじくん

ETFで、配当再投資分を込みで運用している「ダウの犬(配当再投資付)」みたいなものって無いのかな?

ヒイラギ

それがあったら素晴らしいと思うんだけど、現状探してみたところ、まだ存在しないようなんだよね

まとめ:「ダウの犬」戦略は投資初心者にはオススメ

「ダウの犬」投資戦略の「犬」は「負け犬」を指していますが、過去からのパフォーマンスを考えれば、決して「負け犬」ではありません。

助手のひつじくん

むしろ這い上がって来て逆転するような英雄譚にも見えるよね

「ダウの犬」の銘柄は手堅い(ある意味、お堅いイメージ)事業を行っている経営基盤をしっかりと持った会社が多く、高配当金に魅せられたインカムゲインを狙う投資家が選好する銘柄です。

ヒイラギ

FIREを達成するための資産形成の「爆発力」という点では、インデックス投資と同じく物足りないところはありますが、「コア」戦略の一つとして考えてみるのはアリかと思います

番外編:ダウの犬投資法を日本株の投資に応用できるか

助手のひつじくん

これって、日本株でも同じことできるのかな?

ヒイラギ

日本株で「ダウの犬」戦略はオススメしない、というのが結論だね

これまで米国株をベースに「ダウの犬」戦略を語ってきましたが、日本株に応用するとどうなるでしょうか。

日本株の場合、まず思いつくのは「日経平均株価」ですが、この構成銘柄は225もあるため、NYダウのように最初から洗練された30ではないことがまず注意点です。

さらに、225銘柄もあるため、年に1回の銘柄見直し時に株価に影響を与えるトピックスなどが発生していると、株価下落により、高い配当利回りを出す銘柄が大きく変化していることがあり得ます。

こうなってしまうと、銘柄に一貫性がなくなり、下手すると、銘柄の大半をリセットしてポートフォリオを組み直し、といったことも考えられます。

助手のひつじくん

銘柄が多すぎるから不向きかあ・・・
日本にも企業数絞った指数ってないのかな?

ヒイラギ

確かにあるんだけど、これはこれで問題なんだよね・・・

NYダウに相当する指数として、日本「TOPIX Core30」という指数があります。
この指数構成銘柄の中から配当利回りの高い銘柄をスクリーニングし、投資する銘柄を選ぶという「ダウの犬」戦略を応用することはできそうです。

しかしながら、実際に選定してみたところ、「銀行」「商社」「通信」がほぼ上位勢を占めてしまい、業種としてのバランスがあまりにも悪くなります

助手のひつじくん

なるほど・・・
特定の業種に偏ってしまうのか・・・

ヒイラギ

これだと、そのセクターに何らか悪いニュースがあった場合、「ダウの犬」全体のポートフォリオに直撃するからね

助手のひつじくん

確かに・・・
何かあったとき、目も当てられなくなっちゃいそう

ヒイラギ

あと、そもそも論なんだけど、日本株全体のパフォーマンスが米国株と比較すると悪いという点も考慮しておく必要があるね

助手のひつじくん

じゃあ、やっぱり「ダウの犬」戦略を利用するのであれば米国市場で、ということだね

ヒイラギ

そうだね。日本株でのダウの犬を組むくらいなら、最初からNYダウ30でトライすべきだよ

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